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2007 年04 月17 日

最高裁判例ノート〜住民監査請求の期間制限〜最高裁平18.6.1判決

 事案は,次のとおりである。鎌倉市が,平成6年に退職職員の再就職先の給与額を60歳まで退職時の給与月額100%保証をするという内部基準を作成したが,それを公にしていなかったところ,平成12年度市議会でそれが問題にされた。平成12年6月議会で,議員が「市が外郭団体に対して人件費補助はできないでしょう。今までもそんなことはしていないと思いますよ。」と発言したのに対して,実は平成11年度にもすでに部長職経験者が市公園協会常務理事に就職しており,その給与保証をするために市は公園・緑地維持管理運営業務委託費用名目の支出をしているのに,市長は,そのことを全く秘し,ようやく平成12年9月議会で議員の質問でそれが明らかにされ,それが9月9日付で報道された。そこで,10月27日に平成11年度の市公園協会に対する業務委託費用についての監査請求がなされた。しかし,監査請求時点で業務委託費用の支出時から既に1年が経過していたため,監査請求期間を徒過して不適法な監査請求ではないかということが問題になった事案である。

 1審判決は,9月9日付新聞報道があってから速やかに監査請求がなされているから,「正当な理由」があるとしたが,控訴審になってから,市は新たに,平成12年4月28日付神奈川新聞を提出した。そこには退職職員の給与保証に関する報道がなされていた。高裁及び最高裁は,平成12年4月から監査請求をするまでに半年が過ぎているから相当な期間内に監査請求がなされたとは言えないとして不適法却下した。

 しかし,この最高裁の判断はおかしい。実際,この判決をした第一小法廷も3対1に割れている。反対意見は泉裁判長だ。反対意見は,市監査委員も,平成12年4月28日付新聞記事には何ら触れず,平成12年9月議会の新聞記事で本件が明らかになったとして,監査請求を適法と判断していることに触れている。監査委員自身が適法として監査請求を受理しているのに,後になって市がそれを不適法であるというのも,どう考えてもおかしい。しかも,市も控訴審になってから4月28日付新聞記事を見つけたくらいだから,当時は誰も気にとめていなかったはずだ。
 どうしてこんな事案で住民監査請求を制限する必要があるのだろうか。
 
 最高裁がようやく行政に対する司法統制を強化し始めたと思っていたが,また少し行政寄りに振り子の針が揺れている。akira1904


投稿者:ゆかわat 23 :14| ビジネス | コメント(0 )

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